輸入したら「作った人」扱い?輸入者が負うPL責任ってなに?

輸入したら「作った人」扱い?輸入者が負うPL責任ってなに?

海外から部品や完成品を仕入れて売る。あるいは海外サイトで買ったものを国内で再販する。こうしたとき、「自分は作っていないから責任は製造元にある」と感じる方は少なくありません。ところが日本の製造物責任法(PL法)の世界では、輸入した人が「製造業者」と同じ責任を負う場面があります。まずはこの基本の仕組みを、やさしく整理します。

定義:製造物責任(PL:Product Liability)とは、製造物の欠陥によって他人の生命・身体・財産に損害が生じたとき、その製造物を「製造・加工・輸入した事業者」などが負う損害賠償責任のことです。読み方は「ピーエル」。対義語的に対比されるのは、契約相手にだけ責任を負う「契約責任(債務不履行)」で、PLは契約関係のない被害者に対しても及びうる点が特徴です。根拠法は製造物責任法(いわゆるPL法)。

なぜ「輸入者」が名指しされるのか

PL法が責任主体として想定しているのは、大きく分けて「その製造物を業として製造・加工・輸入した者」だとされています。海外メーカーが本当の作り手だとしても、日本の被害者がその海外メーカーを相手に賠償を求めるのは、言語・費用・管轄の壁で現実には非常に困難です。そこで、国内に製品を持ち込んだ輸入者を「作った人」に準じる責任主体として位置づけ、被害者が救済を受けやすくしている——これが大まかな発想です。

具体例個人事業のAさんが、海外の3Dプリント関連パーツを輸入し、自分のブランド名を付けずそのまま国内のお客様に販売しました。そのパーツの欠陥でお客様がケガをした場合、「輸入した事業者」であるAさんがPL上の責任を問われる可能性があります。海外メーカーではなく、まずAさんが矢面に立つ構図になりうるのです。

「製造した」と「輸入した」の違い

自分の工房で3Dプリントして売る人は、文字どおり「製造した者」。海外や国内他社の完成品を仕入れて売る人は、状況により「輸入した者」または「販売しただけの者」に分かれます。ここが重要で、単なる国内の販売店(小売)と、輸入者とでは、PL上の立場が変わりうるとされています。ざっくり言えば、国内メーカーから仕入れて売るだけの小売より、自ら海外から持ち込む輸入者のほうが、製造業者に近い責任を負いやすい、というイメージです。

❌ 誤解「作ったのは海外メーカーだから、事故が起きても自分は無関係。文句は向こうに言ってほしい」
✅ 正しくは輸入して業として売った時点で、あなた自身がPL上の責任主体になりうります。海外メーカーへの求償(あとで負担を求めること)は別途あり得ますが、被害者に対する第一の窓口はあなたになりがちです。

なお、「欠陥」とは単に壊れたことではなく、その製造物が通常有すべき安全性を欠いていること、と一般に説明されます。設計・製造・表示(指示・警告)のどこに問題があったかで議論が変わるため、後述の取扱説明書の警告表示の話題とも密接に関わります。関連用語として「PL保険」もあわせて押さえておくと、リスクの受け止め方が具体的になります。

Q. 個人(趣味の延長)でも輸入者責任を負いますか?
PL法は「業として」製造・輸入する者を想定しているとされます。反復継続して販売していれば、規模が小さくても「業として」に当たると評価される可能性があります。完全な一回限りの個人間譲渡か、事業的な販売かで見え方が変わるため、線引きが微妙な場合は専門家にご確認ください。
Q. 海外メーカーの名前を製品に表示していれば、自分は逃れられますか?
表示だけで輸入者責任が消えるとは限りません。誰を責任主体と見るかは、製造・加工・輸入の実態や表示のあり方を総合して判断されると考えられます。「表示しておけば安心」と決め打ちせず、契約や保険と組み合わせて備えるのが現実的です。

本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。法令・基準は改正されることがあり、個別の製品・状況により結論が変わります。最終的な判断は所管官庁・登録検査機関・専門家にご確認ください。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

実務の「続き」は、メルマガと有料コンテンツで

記事では書ききれない実務テンプレート・実額データ・チェックリストを準備中です。公開通知はメルマガでお知らせします。

→ 無料メルマガについて → 公式note(実践記事) → 有料コンテンツのご案内

この記事を書いた人

3Dプリンター歴10年以上・元大手メーカー開発職。3Dプリンター本体・関連製品を販売するEC事業者として、企業・個人向けの導入支援やセミナーも手がける。Japan RepRap Festival(JRRF)副代表。VoronやVZBotなどオープンソース機のチューニングから最新市販機の検証まで、実機ベースで発信しています。

目次