この記事の要点
- 作る場所は「自宅」「シェア工房」「外注」の3択+組み合わせ。正解は品目と月産数で変わる
- 自宅は固定費最小だが騒音・臭気・スペースの制約が事業の上限になる。シェア工房は高額機材を月数千円〜で使える
- 「設計は自分、製造は外注」は立派な事業形態。機材を持たないスタートも選択肢
対象読者:これから始める方全般/難易度:★☆☆/読了目安:8分
目次
① 自宅工房 — 固定費最小、制約は「音・匂い・広さ」
FDM機1〜2台の副業なら自宅が基本形です。ただし事業として拡大する前に、次の上限を確認してください。
- 騒音 — FDMは夜間運転できる機種が多いが、CNC・コンプレッサーは集合住宅では現実的でない
- 臭気・換気 — レジン・ABS・レーザー加工は排気経路が必須。家族の同意は設備より重要な経営資源
- 電源容量 — 大型機・複数台の同時運転はブレーカーと契約アンペアの確認を
- 賃貸の用途制限・消防 — 賃貸契約の「住居専用」条項、レジン洗浄用IPA等の危険物保管量には注意
自宅の家賃・電気代は家事按分で経費化できるのも自宅型の利点です。
② シェア工房・ファブ施設 — 高額機材を「月額」で使う
レーザー加工機・大型プリンター・SLS・CNCフライスなど、買えば数十万〜数百万円の機材を、月会費+利用料で使えるのがシェア工房(ファブ施設)です。
- 向いている使い方 — 購入前の方式検証(「レーザー事業が成立するか」を買う前に試す)、月数回しか使わない工程、大物の単発加工
- 注意点 — 商用利用の可否・作品の販売可否は施設ごとにルールが違う。予約制なので「今すぐ短納期」の受託には不向き
- 隠れた価値 — スタッフ・他の利用者からの技術情報と人脈。最初の受託案件が工房のつながりから来ることは珍しくない
③ 外注(造形サービス)— 機材ゼロで始める製品ビジネス
DMM.makeなどの造形サービスや、SLS・MJFを持つ加工業者に製造を任せ、自分は設計と販売に専念する形です。
- 向くケース — ナイロン等の高機能材料が必要な商品、月産が少ない高単価品、需要検証段階(在庫ゼロ・受注生産)
- 単価は高いが「固定費ゼロ」 — 1個あたりは自家製造の数倍でも、機材償却・失敗ロス・保守がない。原価計算で比較すると、月産数十個までは外注が勝つことも多い
- 品質責任は自分に残る — 外注しても販売者としてのPL責任・検品義務は消えない
結論 — 月産数で決める使い分け
- 検証期(月0〜10個) — 外注 or 手持ちの安価FDM。固定費をかけない
- 立ち上げ期(月10〜100個) — 自宅FDM+必要工程だけシェア工房。この帯が最も利益を出しやすい
- 拡大期(月100個〜) — 機材増設・専用スペース・一部外注の組み合わせ。射出成形への移行判断もこの段階
次に読む:機材を買う前に決める3つのこと / 副業の現実
