食品衛生法適合証明の取り方 ― 材料メーカーへの聞き方

食品衛生法適合証明の取り方 ― 材料メーカーへの聞き方

食品に触れる製品(食器、カトラリー、保存容器、調理補助具など)を3Dプリントで売るなら、材料が食品接触用途に適合すると示せる資料が出発点になります。ここでは、材料メーカーへの具体的な問い合わせ方を中心に解説します。

定義:食品衛生法は、食品に接触する器具・容器包装などの安全性に関する枠組みを定めた法律です。 ここでいう「適合証明」とは、使う材料が食品接触用途に適合すると、材料メーカーの資料等で確認できる状態を指します(近い言葉:食品接触適合、対義語:用途不明・食品用途非対応の材料)。

問い合わせる前に決めておくこと

⚠ 注意点メーカーは「どんな使い方か」で回答が変わります。問い合わせ前に、①何に触れるか(乾いた食品/水分/油/熱いもの)②接触時間(一瞬か長時間か)③温度(常温/加熱/冷凍)④繰り返し使うか使い捨てかを整理しておくと、的確な資料をもらいやすくなります。

問い合わせで確認する項目

材料メーカーの技術窓口・問い合わせフォームに対し、次を確認します。

・その製品が食品接触用途に適合すると示す資料があるか(適合宣言・試験成績・データシート等、名称は問わず「用途適合が読み取れる資料」)。
・適合が言えるのはどの条件の範囲か(温度・接触食品・時間など、使える上限・前提)。
着色版・グレード違いでも同じことが言えるのか(色や型番が違うと結論が変わることがある)。
3Dプリントでの使用を想定した注意(造形温度、後加工など)があるか。

具体例問い合わせ文の骨子(コピーして調整可):「貴社の【製品名・型番】について、食品接触用途での使用を検討しています。想定用途は【常温・乾いた食品に短時間触れる小皿】です。①この用途に適合すると示す資料の有無、②適合の条件範囲、③この色・グレードでも同様か、④3Dプリント(FDM)での使用上の注意、についてご教示ください。」

もらった資料の読み方

❌ 誤解「SDS(安全データシート)をもらえたから食品接触OK」
✅ 正しくはSDSは主に取扱い安全(作業者の安全等)の資料で、食品接触適合を直接示すものとは限りません。 必要なのは「その用途・条件で食品に触れて使ってよい」と読み取れる資料かどうかです。資料の種類ではなく中身で判断してください。

資料が「無い」と言われたら

⚠ 注意点「食品用途は保証していない」と返ってくることは珍しくありません。その場合の選択肢は、①食品接触適合を示せる別材料に切り替える、②登録検査機関等での試験を検討する、③その用途での販売を見送る、のいずれか。 「保証されない材料を自己判断で食品用途に使う」は避けるのが安全です。
Q. メーカーが海外で、日本の食品衛生法への適合を確認しづらいです。
海外の食品接触規格に適合していても、日本の枠組みでの結論は別に確認が必要な場合があります。 国内代理店や、必要に応じて登録検査機関・専門家に相談するのが確実です。
Q. 造形した後、追加で試験は要りますか?
材料が適合でも、着色・後加工・造形条件次第で結論が変わることがあります。心配な場合は、最終製品の状態での確認や試験を検討してください。積層と衛生の関係は「積層痕と衛生リスク」の記事も参考に。
Q. 資料はどれくらい保存すればよいですか?
保存期間は用途・枠組みにより異なります。 決め打ちせず、所管の基準や取引先要求に合わせて設定し、ロット記録とセットで残してください。

この記事は、完全解説「材料の出所と用途適合を証明する」のSTEP3を食品接触に絞って詳しくしたものです。用途判定から通しで知りたい場合はそちらもご覧ください。

本記事は一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。法令・基準は改正されることがあり、個別の製品・状況により結論が変わります。最終的な判断は所管官庁・登録検査機関・専門家にご確認ください。

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この記事を書いた人

3Dプリンター歴10年以上・元大手メーカー開発職。3Dプリンター本体・関連製品を販売するEC事業者として、企業・個人向けの導入支援やセミナーも手がける。Japan RepRap Festival(JRRF)副代表。VoronやVZBotなどオープンソース機のチューニングから最新市販機の検証まで、実機ベースで発信しています。

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