Fusion 360で始める製品設計 — 個人事業の定番CADを事業目線で使う

この記事の要点

  • Fusion 360は設計(CAD)+切削データ作成(CAM)+図面+簡易解析が1本で揃う、個人事業の定番ツール
  • 個人利用向けの無料枠があるが、商用利用の可否・機能制限は規約で変わるため、事業段階では有償版への移行を計画に入れる
  • 習得の近道は講座の網羅視聴ではなく、「売る予定の商品を1つ、寸法変更に耐える作りで設計し切る」こと

対象読者:CADをこれから学ぶ方/難易度:★★☆/読了目安:9分

目次

なぜ事業用CADの第一候補なのか

  • パラメトリック設計 — 寸法・拘束で形を定義し、後から「10.2→10.4mm」の変更が全体に波及する(用語解説)。顧客の設計変更・サイズ展開に強い
  • CAM内蔵 — 将来卓上CNCに進んでも同じソフトで工具経路まで作れる
  • BtoBで通じるデータ形式 — STEP入出力に対応し、企業とのデータ授受(受託)で困らない
  • 情報量 — 日本語チュートリアル・書籍が豊富で、詰まっても検索で解決しやすい

無料の選択肢としてはFreeCAD(完全無料・OSS)、アート系ならBlenderもありますが、「事業の製品設計を最短で立ち上げる」観点ではFusion 360が学習効率・実務接続の総合点で頭ひとつ抜けています。

ライセンスの注意 — 「無料で商売」はできるのか

Fusion 360には個人利用向けの無料ライセンスがありますが、対象は非商用または小規模事業に限るなどの条件があり、規約は改定されてきた歴史があります。機能制限(同時編集可能なドキュメント数、一部機能の無効化)も設けられています。ここで大切なのは金額の暗記ではなく、事業者としての姿勢です:

  • 学習・検証期は無料枠で始めてよい(現行規約の条件を必ず自分で確認)
  • 売上が立ったら有償サブスクリプションへ——年数万円は「設計インフラ代」として原価に織り込む。ソフトのライセンス違反は、他人のデータの権利と同じく事業の信用問題

最初の30日 — 商品を1つ設計し切るカリキュラム

  1. 1週目: スケッチと拘束 — 完全拘束(寸法で形が固定された状態)の習慣を最初に。ここを曖昧にすると後の変更が壊れる
  2. 2週目: 押し出し・回転・フィレット — 基本形状+角の処理。実寸の身の回り品を3つ模写する
  3. 3週目: パラメータ設計 — 寸法を変数化し、「幅を変えたら全体が追従する」設計に作り替える。はめあいのテストピースで自分の機材の嵌合定数を実測
  4. 4週目: 売る物を設計決めた品目を、printでき、寸法変更に耐え、量産を想定した形で完成させる

チュートリアルを100本見るより、この1サイクルを回す方が確実に「売れる設計力」になります。

次に読む:CAD(用語) / 公差(用語) / パラメトリックモデリング(用語)

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この記事を書いた人

3Dプリンター歴10年以上・元大手メーカー開発職。3Dプリンター本体・関連製品を販売するEC事業者として、企業・個人向けの導入支援やセミナーも手がける。Japan RepRap Festival(JRRF)副代表。VoronやVZBotなどオープンソース機のチューニングから最新市販機の検証まで、実機ベースで発信しています。

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