食品に触れるものを売る条件 — 食器・クッキー型と食品衛生法

この記事の要点

  • 食器・クッキー型・調理器具など食品に直接触れる物は食品衛生法の「器具・容器包装」規制の対象
  • 2020年施行のポジティブリスト制度により、合成樹脂は「認められた原材料」のみ使用可。一般的なフィラメントは適合確認がされていない
  • 個人規模の現実解は「食品用途では売らない(用途を明示して雑貨として売る)」。本気でやるなら適合材料+工程設計+検査まで

対象読者:食器・キッチン用品系の商品を検討している方/難易度:★★★/読了目安:9分

※本記事は一般的な情報提供です。個別判断は保健所・登録検査機関にご確認ください。

目次

どこからが「規制対象」か

食品衛生法が規制するのは食品そのものだけではありません。「器具」(食器・調理器具など食品に直接触れる物)と「容器包装」も対象です。デジファブ製品で言えば:

  • 対象になる例 — コースター状の「お皿」、クッキー型、ケーキトッパー(食品に挿す)、箸置き(箸の接触点)、マドラー、弁当用カップ
  • 対象外の例 — 食品に触れないコースター、ボトルの外側ホルダー、パッケージの外装、ディスプレイ用の食品サンプル

境界は「食品に直接接触するか」。迷ったら保健所に相談するのが確実です。

ポジティブリスト制度 — 「この樹脂は食品OK?」の答え方

2020年6月から、合成樹脂製の器具・容器包装はポジティブリスト制度の対象になりました。ポイントは、判断単位が「PLAだからOK/NG」ではなく「ベース樹脂+添加剤+着色剤の配合」単位だということです。

  • 市販フィラメントの大半は、メーカーが食品接触用途を想定しておらず、適合の確認書類が出ない
  • 海外の「Food Safe」「FDA」表記は米国等の基準であり、日本の制度適合を意味しない
  • 樹脂が適合でも、FDMの積層溝は洗浄しにくく細菌が残りやすいという衛生上の課題が別にある

個人規模の現実解 — 3つの選択肢

① 食品用途では売らない(最も現実的)

「本品は食品用ではありません。食品には使用しないでください」と商品ページ・同梱票に明示し、装飾品・雑貨として販売する。PL法の指示・警告の観点でも、この表示は必須です。クッキー型なら「粘土・工作用の型」として売る選択もあります。

② 工程を変えて「食品が触れる部分」をなくす

3Dプリント品を原型にして真空成形やシリコン型取りで食品適合シートから成形する、市販の食品適合容器と組み合わせて「触れる部分は既製品」にする——製法の組み替えで規制との関係を設計する発想です。

③ 本気で適合させる(事業レベル)

食品接触グレードの原料(適合証明が取れる樹脂)を使い、表面平滑化などの工程設計を行い、必要に応じて登録検査機関で溶出試験等を実施する道。営業許可が要る業態(製造業の届出等)に該当するかも含め、保健所への事前相談から始めるのが正攻法です。ここまでやると差別化にはなりますが、個人の副業レベルでは投資対効果を慎重に。

次に読む:食品衛生法(用語) / ポジティブリスト制度(用語) / PL法入門

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この記事を書いた人

3Dプリンター歴10年以上・元大手メーカー開発職。3Dプリンター本体・関連製品を販売するEC事業者として、企業・個人向けの導入支援やセミナーも手がける。Japan RepRap Festival(JRRF)副代表。VoronやVZBotなどオープンソース機のチューニングから最新市販機の検証まで、実機ベースで発信しています。

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